プロローグ
初夏らしくじめついた平日の昼下がり、生後間もない赤ん坊の育児に努める一人の女性がいた。ファミリー型で低層マンションの一室で、産後の母親らしく赤ん坊とのスキンシップに励んでいる。新しく血の繋がった家族が増えて、この母子に明るい希望が差し込んでいる。まだ生命を授かって三ヶ月しか経っていない我が子に、彼女は栄養を与えていた。まだ満足に食べる動作が不可能な赤ん坊に与える栄養源は、他でもない彼女自身が乳房から搾り出す母乳である。そう…、彼女は現役の母乳妻なのである。乳飲み子を養う母親らしく授乳に勤しんでいた。
何の変哲もなく、ごく一般的に出産を経た家庭ならば当たり前に見られる家族風景だ。強いて違い目を挙げるとすれば、彼女の肉体であろうか。何せこの母乳妻は飛び抜けて胸が大きいのだ。授乳を控えた出産後は、押し並べて乳房が大きく膨らむとされているが、彼女の場合は元来胸が豊かであった。それが出産を経て更に乳房のサイズアップに拍車が掛かっていた。この母乳妻の乳房には、さも大量の母乳が満ちているのだろう。胸の膨らみが周囲に与えるインパクトが余りにも強烈で、まず目線が高い乳肉の丘陵に向くのは間違いない。淑やかで落ち着いた物腰にはおおよそ似つかわしくない大きな胸。一言で言うならば爆乳である。
巨大過ぎるが故に、市販のブラジャーを探すのが困難に思えそうな程である。赤ん坊の頭が彼女の爆乳で隠れてしまいそうだ。大きさ極まりない爆乳のせいで、授乳中に赤ん坊が窒息死しかねない。もう一つ違いがあった。彼女は授乳という行為に普通の女性よりも固執している事だ。しかしその理由は彼女しか知らない。夫でさえ知らないその理由は、彼女の過去にも絡んでいる。乳を与えている最中、親子の時間を切り裂くように電話が鳴った。授乳の中断を余儀なくされて多分に不満げな彼女だったが、赤ん坊を丁寧に横たわらせ受話器を取る。電話は夫からだった。
「…そうなの…。また出張なの…」
淋しげに言う母乳妻。
「会社の業績が悪いって、あなた言ってたけど…見通しはどうなの?」
夫からの返事は芳しいものではなかったらしい。彼女は表情を曇らせる。
「そうなんだ…。給料もギリギリで転職も考えないといけないの…」
彼女は暫く黙っていたが、決心したのか語気を若干強くして伝えた。
「私もパートで働くわ。赤ん坊の事なら大丈夫よ。今は子供をちゃんと預かってくれる職場もあるみたいだし…。探してみるわ」
夫は電話越しに愛妻の身を案じているようだ。
「あなたもそんなに心配しないで…私達夫婦じゃない。お互い助け合いましょ」
彼女は胸も大きいが、家族への愛情も大きいようだ。差し詰め母乳も胸いっぱい、愛情も胸いっぱいというところか。
「出張先でも連絡ちょうだいね、待ってるから…じゃあね。仕事頑張ってね」
静かに受話器を置く。『また独りぼっちか…』深く息をつく爆乳妻。何度目かの夫の単身赴任。
「余計授乳に拍車が掛かりそうだわ…」
高々と盛り上がった乳房の膨らみにそっと手を添えて、意味深な言葉をポツリと溢す。授乳が中途半端だったせいか、大きな膨らみにジクジクと母乳が溜まって来るのが分かる。
「いいえ…それよりも、この子の為にも頑張んなきゃ」
家族の為、夫の為、赤ん坊の為に自分を鼓舞する彼女であった。
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